若葉の舞台 Wakaba stage

用途:イベントスペース
構造:鉄骨造

設計:矢橋徹
担当者:川崎真清、上野拓美

掲載:
architecturephoto(Japan)
DIVISARE(ITA)

敷地は熊本市中心部から少し離れた親水公園・江津湖公園と築30年ほどが経過している住宅が立ち並ぶ住宅地、それと美しい稲穂が広がる田畑、この3つの結節点となる場所にあります。敷地には施主の経営する店舗があり、その店舗に付属している使われなくなったテラスを何か地域に開かれた場所として活用できないかとの依頼を受けました。
まずそのテラスの置かれている地形的特徴に注目しました。レベルの異なる歩道が奈落のような谷を形成している特徴があり、テラスの下部は既存の鉄筋コンクリートで作られたガレージがテラスを支えています。外に開かれているはずのテラスはこの地形的特徴が強固な境界として存在しているため街との接続を絶たれた状態にありました。しかしこの地形的特徴を生かす場所の在り方を再構築することで街とテラスを新たな関係で結ぶことを目指しました。軽い鉄骨のフレームをRCガレージを基壇として立たせ、その上部にイベント時に変更が可能な屋根が掛かった構造としました。白い鉄骨フレームはガードレールや道路標識と親和性をもつデザインとなっており、街の部品として視覚的な連続性を持つように設計しています。様々に変更可能な屋根は、それ自体が振る舞いを街に伝え、サーカスの設営に似た効果を持つことを目的としています。歩道を客席と見立て、奈落を介してライブイベントや催しを体験できる街の舞台のような新しい関係性をもった場所に生まれ変わることを期待しています。