house & shop N / 黒石の改修

計画地:熊本県合志市
用途:店舗兼住宅
状態:リノベーション
計画着手:2017.08
工事竣工:2019.04

設計監理:矢橋徹建築設計事務所
担当者:矢橋徹、川崎真清、姫野沙紀

撮影平田克広(hacopgotoshop)
https://www.haco-photo.com

施工会社:綴組、一部施主施工

掲載:
Leibal(USA)

築40 年の既存住宅をご主人が営むサロンと住居の兼用住宅にリノベーションするプロジェクトです。クライアントからは、既存のもつ素材や庭との関係を活かすこと、サロンと居住スペースが明確に分かれている事が求められました。日本の木造建築には「継手」という技術があります。継手はその名の通り二つの材を繋ぐ結節技術のことです。力の伝達や使用箇所によって様々な種類を持ち合わせています。リノベーションに向かう姿勢として、私たちはピカピカの新素材で覆い隠してしまう矯正の方法ではなく、既存住宅に向き合い、既存住宅がこれまで堆積してきた時間とこれからを繋ぐ「継手」としてのデザインを模索しました。居住スペースは白い空間に既存の要素が断片的に登場する空間です。既存の柱やブロック基礎、床下で発見された窪み、既存の窓などを、新しい生活や庭との関係に合わせて再編集することを「継手」と捉え、既存の要素が生きた存在として新しい生活を迎え入れることを目指しました。サロン部分は既存の構造材を全て表したスケルトン状態です。新しく採用される材料は柱や土台の間に素材そのままの状態で施行されています。それら新しく施行された素材は時間が経過するごとに既存の材料に馴染み、既存・新設の境目がなくなります。この場所での生業が地域に自然と馴染み、素材が同調する関係の紡ぎ方を「継手」と考えました。